生活者による地域循環型社会づくりへ
EM活用による全学校給食の食料残滓回収と飼料化を実現
〜新潟県長岡市・NPO地域循環ネットワーク〜
<廃棄処分しないで再利用する工夫と実践>の積み重ね

-市全域の学校給食の食料残滓をリサイクル-

 新潟県長岡市のNPO・地域循環ネットワーク(金子博理事長)は、平成9年2学期からボランティアによる学校給食の食料残滓回収と飼料化に取組んできたが、平成14年4月からは、長岡市からの受託事業として、市内全域の小中学校、養護学校、保育園(計53施設)の食料残滓回収とEM活用による飼料化を実現している。

-家庭生ごみのリサイクル活動が原点-

 同ネットワークは、平成6年に発足した「サークル・水ばしょう」による<家庭生ごみリサイクル運動>が原点。平成9年に「地域循環ネットワーク」を設立して、事業所系生ごみのリサイクル、古紙トイレットペーパーの普及、古材・割り箸のリサイクルなど多彩な実践活動を繰り広げている。活動の原点である家庭生ごみリサイクルについても、現在約800世帯がEMボカシ、コンポスト、乾燥機など各家庭の事情に合った方法により堆肥化や飼料化を実現している。

-EM技術が食品残滓の飼料化を後押し-

廃棄処分しないで再利用する工夫と実践の積み重ね
70歳過ぎても益々元気
炭焼きボランティアの皆さん
 給食残滓の飼料化は、ボランティアの協力を得ながら以下の工程で進められている。
  1. 各学校からの生ごみ回収(毎日)
  2. 回収生ごみの用途別仕分け(毎日)
  3. EMボカシふりかけ・一時保管
  4. 専用乾燥機にて150℃の高温で乾燥・殺菌
  5. EMボカシを混ぜての木箱内発酵(1〜3週間)

 なお、学校給食残滓に加え、市内のホテル・レストラン・食品製造工場等から持ち込まれる食品残滓も給食残滓とともに飼料化しており、こうした食品残滓は、年間計1100トンになる(同市可燃ごみ・72000トンの1.5%に相当)。EM発酵された飼料は、敷地内牧場の牛・豚・鶏の餌として活用されている。また、食料残滓の一部はミンク飼育場でも飼料化されミンクの餌として活用されている。

事業共同組合を設立して地産地消・循環型社会の実現を目指す
〜新潟県長岡市の事業共同組合・エコファーム新潟〜

-政策提言を目指した新しい試み-

 地域循環ネットワークでは、地域内での資源循環型社会づくりへの提言と実現を図るため、事業協同組合・エコファーム新潟(鈴木重一理事長)を平成13年に設立し、有機農法を中心とした生産、消費、再生利用のモデルづくりを進めている。因みに、食品残滓を飼料として飼育された家畜の食肉は、地域のスーパーにて販売されるとともに、エコファーム直営のバーベキューハウスでも提供し好評を得ている。また、家畜の排出する糞尿はEM発酵の良質堆肥として地域の農産物生産者に販売され、この堆肥によって生産された有機農産物は地域の生活者に提供されている。

-次世代への心と人を創る-

 また、同組合では、次世代を担う子供たちの感性を育み家族や友人との絆を深める試みとして、食事体験、自然体験、手作り教室などの事業を展開している。
<米百表>精神発祥の地に相応しい新しい試みが次々と実行されており、地元新潟県はじめ全国市町村の行政やボランティア団体の注目を集めている。



西宮神社の池の浄化活動
 平安時代の古文書に記される、福の神「えびす様」の総本社として全国から遍く崇敬を集めている西宮神社の池の浄化が進められている。
 氏子であり、U-ネット技術委員である渡部さんの、「昔(約50年前)の池のようにきれいにしたい」との思いでの実験がスタートであった。

 その後、KCC・EM研究会へ相談し、同会の森田さんやモモの会の三重野さん他7名で活性液による浄化活動が行われている。
 面積が約1,000平方メートル、平均水深は約50cmで、水量は約500立方メートルの池であり、給水は10〜20リットル/分程度の井戸水である。
 この給水による流速は10cm/hr程度であり、池の水は約1ヶ月滞留する計算になる程の閉鎖水域に近い状態である。
西宮神社の池の浄化活動


 昨年の4月から7月までは20リットル/週、8月から今年の3月の間はU-ネットからの百倍利器の貸与により100リットル/週の活性液が投入されてきた。

 一年間の浄化活動では水は見た目に大きな変化は見られなかったが、ヘドロはかなり減少してきた。この事は分析結果からも証明されており、水質の改善はあまり見受けられないが、ヘドロの質は強熱原料、CODsed、アンモニア態窒素が大幅に減少していた。なお、透視度は今年の2月頃から優位性が顕著に見られるようになって来ている。

 閉鎖水域での水質改善のためにはヘドロ対策が重要と判断し、今年はEMだんごの投入を企画しているとの事であった。
 なお、森田、渡部両氏は夫婦の桜、震災で亡くなられた方への鎮魂のために林檎の植樹を行う現代の花咲爺さんでもある。





有明海のネットワークが集結
〜「EM 海と水の環境会議 2002 in 有明海」〜
 8月11日(日)、U-net通信Vol.17でお伝えした九州・有明海で行なわれているEM活動の力が結集し、福岡県柳川市において「EM 海と水の環境会議 2002 in 有明海」が"蘇る有明海ネットワーク"主催のもと開催された。この"蘇る有明海ネットワーク"は、九州の大牟田、久留米、柳川、諫早などの17地域、22のEM活用団体による連絡協議会で、有明海周辺の自然環境を守り、多くの生物を蘇らせる活動がみるみるうちに成果をあげたことから、マスコミを含め全国から注目を集めている。

 大ホールでの発表と講演は午後からであったが、あいにくの天気であるにもかかわらず10時の開場を前にすでに参加者が集まり、ボランティアの皆さんをはじめ地元の方々の興味のほどがうかがえる。

海のネットワークが集結
質問に対応する
角田運営委員
 ロビーではパネル展示のみでなく、EM活動を実践しておられる地元の方々が米のとぎ汁EM発酵液の作り方、生ゴミ堆肥化、ボカシ作りなどを実演し、人だかりが何箇所もできる盛況ぶり。特に有明海浄化に大活躍の「EMドロ団子」の実演や、蘇った生物の生きた展示はなかなかほかでは見られないものとして参加者の関心を集めていた。実演や説明を行なうボランティアの皆さんは、やはり実際に行動をされているだけに説明もスムーズで手馴れた様子だ。


 お昼過ぎから行なわれた大ホールでの発表は、オープニングビデオから"蘇る有明海ネットワーク"会長の山下鏡子さんの挨拶にうつり、後援の柳川市、市長へ感謝の言葉が送られた。

 次に「水質浄化活動全国の動き」として、U-ネットの活動を含めた日本国内のEM活動をU-ネット浜渕運営委員長と高橋顧問が紹介し、具体的なEMの効果をスライドなどで見ていく。続けてEM活用の実践事例として、福島県のU-ネット華山技術委員がいわき市での河川浄化を、三重県の小川技術委員が四日市市の河川浄化を発表。その後、生物が蘇っただけでなく、官民が協働でEMに取り組んでいる瀬戸内海浄化の事例や、環境学習で河川浄化に取り組むU-ネット中庭運営委員の発表が行なわれた。水浄化の取り組みへのバリエーションの多さも、多面的な活動を繰り広げている有明海の現状に沿う形で、大いに参考になったと思われる。

 有明海浄化「EMじゃぶじゃぶ作戦」の実践発表では、具体的な活動に携わっているボランティアの皆さんが状況をスライドとともに説明。わいわいと賑やかな中にも、海辺で生活をして行くために地域住民が一丸となって海をきれいにしていこうという雰囲気が伝わってくる。同時にEM研究機構福岡事務所の白土氏の発表した、EMによる"生物の発生と多様化"の成果は、今までのBOD(生物的酸素要求量),COD(化学的酸素要求量)という水の判断基準を大きく変える考え方として、EM効果を直に肌で感じている地元の方達のみでなく、むしろ表面的な美観にこだわってしまいがちな現代人皆が考えなければならない部分かも知れない。

 夕方5時に会場に到着した柳川市長は、EMによって昔の魚が戻ってきたことをきっかけに地球規模の環境浄化への希望を語り、具体的行動の大切さを呼びかけつつこれからも共に力を合わせて取り組みたいと挨拶した。(因みにちょうどこの日は福岡県代表で甲子園に出場していた柳川高等学校の第一回戦があり、市長は試合観戦後たっての希望でこのEM環境会議へ足を運んだ。柳川高校は試合に勝利し、市長も二重の喜びを隠せない様子。)最後に比嘉教授の講演、全体総括があり、参加者は終始熱心に聞き入っていた。

 この驚くほどのEMの成果があがったのには、やはり有明海へのEMの直接投入だけでなく、地道な家庭からの米のとぎ汁EM発酵液の投入に表れている地域住民の方々の意識の高さ、それも楽しみながら行動をしている点にあるようだ。アットホームな雰囲気は準備の段階から会場いっぱいに広がっていて、訪れた人は皆純粋にEM活動の成果に向き合っていたようだった。





浦安市が河川の浄化から環境対策に着手
 昔は漁業の町であった浦安市は、今は日本最大のレジャースポット、ディズニーランド、ディズニーシーを有し、東京駅に20分で通うサラリーマンのベットタウンに発展している。

 昨年7月、市民の要請で環境部が設置され、初代環境部長に就任された村瀬氏は、茨城県取手市の堆肥化システムや福島県四倉町の河川の浄化事例を視察、調査し、自身からEMの効果を体験されて周囲を説得、悪臭の酷い堀江川から、確信をもって環境先進市を目指して街づくりを開始した。14年度に予算を訂正し、百倍利器と1トンタンク2基を購入、市クリーンセンター(廃棄物処理場)に設置して6月から週2トンのEM活性液を放流している。この活性液は環境保全課の職員が製造し、投入も全て行なっている。堀江川は途中の暗渠から雨水、生活雑排水が流入する幅約3.5m、長さ2kmの川で、末端は貯水池が有り、排水ポンプで1日9トンが旧江戸川に排水されているという。

 今日、8月8日は7回目の投入日だったが、川底は汚泥で見えず、わずかに魚影が見える程度だ。しかし臭いは全く無く、透視度18cm、pH6.9で、旧江戸川排水溝付近にはハゼが群れていた。この秋には結果が出ると思われる。

 村瀬部長は職員の方達と視察されていたが、今後の市の環境行政の展開(ゴミの焼却→堆肥化なども)には「EMでやれば大丈夫だ」という自信を持たれているとの事である。

 幸いに市は豊かな財源を持っている。市が独自に効率的な環境対策を進め、市民を目覚めさせ、システムを確立するチャンスととらえている。今まさにそのスタートである。
浦安市が河川の浄化から環境対策に着手
EMを投入する保全課の小泉さん




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