果樹の里・山梨県に広がるEM活用による地域起し
〜南部町では平成の環境維新革命を目指すNPO法人「なんぶ農援隊」が活躍〜
地元の生ごみをEM技術で飼料化して町の特産品を次々と開発
NPO法人「なんぶ農援隊」がEMで町おこし
 「環境の会なんぶ」(山梨県・横山正廣会長)は、過疎化と老齢化が進む山梨県南部の山間地で、平成13年に実働の中心部隊として、NPO法人「なんぶ農援隊」を立ち上げ、EMの発酵技術を活用した生ごみの飼料化、発酵飼料による養鶏、同鶏糞を中心とした有機農産物の生産と販売に加え、EM活性液利用によるゴミ焼却場・水処理・汚泥堆肥化・下水、河川の浄化の指導と活用の事業を始めた。特産品には自然飼育の有性鶏卵・EMなんぶ大豆・パセリ・茶・ネギなどがある。更に、米・花・ヤーコン等を加えたEM特産品の品揃えを進め、同NPOを主体に集荷販売を始めたい(鈴木俊輔 組織・技術開発研究室長)としている。こうした活動はまだ緒についたばかりであるが、町が進める生ごみの資源化にも整合しており、地域住民や行政から注目されている。

「NPOの自活」への仕掛けと隊内通貨
 同NPOは、環境保全、町づくり推進、保険・医療・福祉の増進を活動の目標として設立(同定款)しているが、発足3年目で既に5名の専従と4名の半専従を置く活動を展開している。主な活動は、生ごみの回収飼料化、活性液の普及と環境浄化、EM農法の普及、実験養鶏場、EM情報発信やEM資材・EM関連商品の販売店舗(ワイワイふるさと館)の運営などであるが、この活動を支えるのが隊長指導による徹底した経済合理主義である。因みに、同NPOにて働いたボランティアには1日の報酬として隊内通貨・竜馬札(1枚500円相当)、2時間に対して1枚が支払われる。この通貨は農援隊商品の購入に利用できるが、会員協力店でも使用ができ、竜馬札を受けた協力店はいつでもNPO本部で現金への換金が可能である。同札の流通は、結果として特産品の販売向上と寄附の促進に役立ち、将来商工会との提携による地域通貨にしていく(同隊長)という。同制度は、自立を目指すNPOの参考になるものとして期待されている。

≪ NPO「なんぶ農援隊」の隊内通貨・竜馬札 ≫
  1. この通貨は、『なんぶ農援隊』が責任をもつ、隊内通貨です。
  2. 基本的に『なんぶ農援隊』への寄附・支払いに利用できます。
  3. 竜馬札は、協力店の表示のある商品等で使用できますがつり銭は出ません。
  4. 換金基準は一竜馬・500円ですが、換金価格は値上げされることもあります。

隣接の身延町、下部町もEMによる町おこしへ
 NPOなんぶ農援隊のメンバーの中には隣接市町村の議員や住民が含まれており、南部町に隣接する身延町、下部町でも同メンバーによるEM活用による町起しが提案されている。既に議員・行政による福井県宮崎村(活力自治体フェア「こんな長に行政をまかせたい」で話題)への視察勉強会も実施されており、なんぶ農援隊をはじめEM関係各機関の支援と協力が期待されている。

「EM技術を活用した濁川の継続的な浄化」を山梨県に提案
〜市民団体が1年間のボランティア活動による改善実績を踏まえて〜
山梨県も提案に積極的対応
 ユートピアこうふ緑の会(甲府市・青木のり子代表)は、平成14年度に「全国ボランティアフェスティバル・環境部会」に参加し、甲府市街を流れる一級河川・濁川の浄化活動を進め、ヘドロが分解され臭気が消えた、稚魚が誕生し水鳥が飛来するようになった等の改善結果を出し行政や地域住民から注目されていた。こうした実績を踏まえ同河川を管理している山梨県(河川砂防管理課井上和司課長)宛てに5月30日「EM技術を活用した継続的な濁川浄化」の提案書を提出した。同課では、ボランティア活動結果に注目しているほか、試験的にEMの活用実験を進めており、「同提案に積極的に対応する」としている(同課長)。濁川を手始めに、行政とボランティアの協働による山梨県内各河川浄化への積極的な取り組みが期待されている。
河川や池の浄化活動を進める「ユートピアこうふ緑の会」の皆さん
河川や池の浄化活動を進める「ユートピアこうふ緑の会」の皆さん


山梨県民の森公園でも池の浄化テストを開始
 <ミレーの落ち穂ひろい>の所蔵で有名な山梨県立美術館を擁する芸術の森公園では、前出のボランティア団体が園内を流れる小川と池のEM技術による浄化テストを平成15年4月から開始し経過の観察を進めている。園内を流れる小川は隣接する住宅街からの生活排水により汚染が進んでいるためEMの蘇生力を借りて浄化しようというもの。県とボランティア団体の協働プロジェクトの一環でもあり、浄化改善が期待されている。

U-ネット本部・技術委員会が後押し
 青木同代表(U-ネット技術委員)は、昨年の濁川浄化活動開始に先駆け、日本全国でのEM技術活用による河川浄化の事例視察とノウハウ収集を実施しており、今回の提案を契機にU-ネット(本部・技術委員会)の本格的な支援を受けている。県・ボランティア協働作業の実現に向けU-ネット本部による技術・人材・資材などでの更なる支援が期待されている。

甲府市営遊亀公園でも池の浄化を開始
 甲府市(公園緑地課)では、平成15年3月からユートピアこうふ緑の会とともに、EM技術活用による市営遊亀公園の池の浄化作戦を開始した。これは平成14年度の同グループによる濁川浄化の実績を知った市職員の、「市の公園の池も奇麗にできないものかなー。」の一言が行政とパートナーシップを組むきっかけとなったもの。池の取水口に約20キロのEMセラミックスを沈めたほか、EMを沁みこませ乾燥させたスポンジを半分に裂き、その中にkタイプセラミックを詰め込んだものを比較的浅い部分の石の下に挟み込んだり、池の各所に30キロのEM団子を投入するとともに、週1回のEM活性液と米のとぎ汁EM発酵液を流し込むなどしている。一部へどろが消え始め砂地が見えるなどの改善が見られており、池の透視度の改善には至っていないが、茶褐色に変わったり濃い黄緑色に変色するなど、生物が多様化し活動している動きが見られているという。  市公園緑地化の職員がEM活性液の投入作業、池の観察とデータの分析に積極的に取り組んでおり、結果が良ければEMによる浄化活動が継続される。


安全とおいしさがなによりの満足 〜農業プロとしての試行錯誤〜
 これからの季節、私たちを十分に楽しませてくれるおいしい果物。ぶどう、桃などの多くの果実をEMにより栽培し、そのおいしさと安全さが評判になっている山梨県一宮町のU-ネット山梨県リーダー、鮫谷陸雄さんの農園にお邪魔した。

 取材に伺った時期はちょうど手入れに大忙しで、液体の植物ホルモン(ジベレリン)に房を浸し、ぶどうを種無しの状態にする作業が行なわれていた。EMによる巨峰の栽培を開始してから3年目に無農薬を実現し、それから7年が経つ。ぶどう畑の土は2.5mの棒が入るほどのやわらかさで、EMによる土づくりが徹底的に行なわれてきたことが分かる。ボカシをさっとまき、牛糞、EM活性液、EMセラミックスを散布する処理方法で、すでに3年耕していないとのこと。ピオーネという品種では1房が25〜30粒で500〜600gとなり、葉は肉厚できれいな左右対称。良いぶどうの基準だという。殺虫剤は使用していないが、ダニ、アブラムシなどを見ることはない。 桃の木の横にて説明をする山梨県リーダー鮫谷氏(中央)
桃の木の横にて説明をする山梨県リーダー鮫谷氏(中央)

 一方桃のほうも葉が厚く、なおかつ軟らかい。幹はなめらかで桜のよう。EMがかかりやすいようにと角度をつけたり、EMセラミックス(パイプ)を吊り下げて鳥害を防ぐなど、創意工夫がなされている。桃の木は通常15年の命だが、ここではすでに30年の長寿木もあるらしい。桃は普通ならば消毒が何度も必要だが、EM活性液、セラミックスの噴霧により最小限度に抑えられている。

 なによりすごいのがEM活性液やボカシの研究で、無農薬への試みや虫対策など、多くの課題がある農業ではそれだけの試行錯誤が必要なのだろう。にんにく、とうがらし、アロエ、どくだみ、へびいちご、昆布などを用途に応じて加えたり、水や糖蜜へのこだわりから、初期段階で悪玉菌が働かないよう煮沸したり・・。その結果非常に香りのよい上質の活性液が作られており、2次培養した1000倍のものでも品質は維持されている。ボカシも良い活性液を使用していることから上質の物が出来、さらに1年半熟成されたものもある。

 本当に安全で、おいしい果物をつくりたいという意思がある人には完全にオープンな形ですべてを公開し、良さをどんどん広めていくのがポリシー。元小学校の先生だったことも環境学習への取り組みにつながり、遠くは東京から学校の生徒が社会科見学やぼかしづくりなどに訪れ、EMの勉強をして帰っていく。ご近所にある瑞蓮寺の松の樹勢回復にもEM使用が続けられていて(通信Vol・19参照)、緑の新芽がしっかりと根付いており、さらには鐘楼の敷き面にもEMセラミックスが使用されていた。前述のNPOなんぶ農援隊やユートピアこうふ緑の会とも連絡を取り合い、農業者のプロとしての姿勢と同時に、EMを独占的なものにせず、地域の方とのつながりや協力から、皆で情報交換をしながらより良い方法を探していこうとする意思が見てとれた。


"お米とメロンの里"七城町における環境浄化活動
 平成8年、10年と“美味しいお米日本一”を受賞し、メロン栽培でも有名な七城町は、熊本県児童のアンケートで住みたい町のトップでもあり、熊本市から昔懐かしい電車に約30分揺られ、終点御代志(みよし)からバスで約25分の菊池平野に位置している。
 菊池川支流、鴨川の河川敷を利用した鴨川公園は合鴨等も住むすばらしい親水公園であり、子供達の釣り場や家族の憩いの場所となっている。正にのどかで緑豊かな町である。

 U-ネットの埼玉県リーダーであった田村さんご夫妻は、ご主人の退職を期に故郷の七城町にUターンし、所沢での活動経験を基に、環境改善活動を行う目的として町長をはじめとした知人の方々に働きかけ、13名の出資による七城環境ネットワーク(長尾代表、古閑・田村副代表)を昨年の4月に設立した。さらに6月には事務所を構え、8月にはNPO法人としての認可を得て、現在もEMを中心とした環境改善活動を行っている。

 このネットワークの活動は、町長、助役、町議会議員の理解と参加を得ながら、婦人会へのEMボカシ作りや米のとぎ汁EM発酵液の作り方講習会、EM活性液の投入と販売、また小中学生を巻き込んでのEM団子作りや、小中学校、町役場、町議会等へのEMの啓蒙活動(説明及び講習会)、その他EM活動団体との交流、国土交通省による河川の環境改善に関するイベントへの協力・・等多岐に渡っている。

 河川の浄化活動として、昨年は町内に3箇所に設置したタンク(1tタンク2基1組)でEM活性液(EM1号18リットル、糖蜜36リットル/1m3活性液)を作って投入していたが、今年からは事務所に集約して作った活性液を月に1m3程度投入している。 地元小学生のEM団子づくり
地元小学生のEM団子づくり
また、昨年は小中学校生の環境意識を高揚する目的から、同ネットワークで資材(赤土や活性液)を準備し、児童生徒の有志360名と一緒に約10,000個のEM団子を作り、7月7日、七城町の日のイベントとして鴨川公園から菊池川に7,777個投入した。昨年の実績により、今年は小中学校の環境教育の一環として小学生347名、中学生205名の全員参加で、EM団子を5月29日の授業の時間に約10,000個作って、発酵期間が完了する七城町の日(7月7日)に昨年と同じように鴨川公園から投入される予定である。

 なお、河川浄化用として作られる1m3の販売用活性液の一部は協力会員(約60数名)に10リットル(10リットルタンクはU-ネットから支援)ずつ10回頒布され、会員以外の一般用としてはボカシといっしょに道の駅『メロンドーム』の一角で販売し、これもネットワークの活動用資金となっている。

 協力会員に頒布された活性液は米のとぎ汁EM発酵液作り等に活用され、花壇、トイレ、流しなどに使用されることによって河川等の環境浄化の一翼をになっている。
 町内におけるEMの浄化活動の認知度も高まっており、たまたま取材中に活性液を投入していた時には、車を止めて話しかけて来る人や、液の一部を分けてもらう人が現れる等の光景もあった。
 活動範囲は町内に留まらず、隣接する山鹿市では、小学校や食生活改善役員にEMの説明とEM団子、ボカシ、EMプリン石鹸の作り方の指導を行っている。また、植木町の環境フォーラム(7月13日)には田村さんによるEMの講演が行われる予定である。

 その他、国土交通省(菊池川河川事務所)にも河川の環境改善イベントへの積極的な協力参加や地道な活動が認められるようになり、ネットワークの活動による河川の環境改善(水質等)実績値の測定協力や今後の活動の進め方についてのアドバイスを受けるようになってきている。さらなる今後の活躍が楽しみな活動状況であった。


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