長崎県下で進むEM技術活用による官民一体の環境改善活動
〜行政が次々とEM培養装置を導入して市民の環境改善活動を支援〜
 長崎県は、離島や海岸線が多く、風光明媚で優れた港に恵まれ長く日本の海外交流・貿易の窓口として発展してきた。こうした事が起因してか環境問題に対する関心は薄く九州地区でもEM技術の導入やボランティア活動が最も低調であったという。しかし有明海の浄化活動に端を発し、行政がEM培養装置を積極的に導入して市民のボランティア活動を支援する方式が定着しつつある。官民協働の事例を現地リポートとしてお届けする。

官民協働のEM団子100万個投入による諫早干拓調整池の浄化
市民のボランティア活動を諫早市、農林水産省、国土交通省が全面支援

「有明ネット」の活動成果が行政を変えた
 平成13年にスタートしたボランティア団体と漁民による「甦る有明海ネットワーク」の結成と<EMじゃぶじゃぶ作戦>の成果は、有明海沿岸の市町村をはじめ農水省や国土交通省の現場事務所の意識を変え、官民協働による環境改善活動の定着へと確実に発展している。源流は、品質悪化と収量激減に悩む沿岸漁民や市民による有明海浄化提案が行政の壁に突き当たり、自ら立ち上げた実践活動がスタートとなっている。

 因みに、行政によるEM培養装置の設置は平成16年12月現在、有明海に面する長崎・佐賀・福岡・熊本の4県で30箇所になる。また、民間ボランティア団体や漁協の分を加えると、実に50を超えるEM培養装置が環境浄化活動に活用されている。特に長崎県下では、平成15年10月に島原で開催された第3回EMサミット以降各市町村や農水省によるEM培養装置の設置が16箇所にも達し、ボランティア活動に対する支援が活発になっている。


諫早干拓調整池に100万個のEM団子を投入
 諫早市婦人連合会(橋本幸子会長、2,000人)は、平成13年からEM技術を活用して市内を流れる本明川の浄化活動を進めているが、16年から川の終着地・諫早干拓調整池の抜本的な浄化活動に着手している。既に、諫早市、同教育委員会、農林水産省諫早干拓事務所、国土交通省長崎工事事務所、U-ネット長崎、EM研究機構などの支援をえて実行計画書を作成中で、市内小中学校の生徒たちの参加を得て100万個のEM団子を作り、この春から本明川や調整池に投入する(橋本会長談)。
官民協働のモデル・諫早干拓調整池の浄化活動がスタート
官民協働のモデル
諫早干拓調整池の
浄化活動がスタート
 同調整池の浄化活動は、ボランティア中心で開始された環境浄化活動が、関係者の協力により急速に官民協働の事業に発展した素晴らしい事例であり、この動きが地域の環境改善に更に効果を発揮し行政コストの引き下げにも繋がるものとして関係者から熱い期待が寄せられている。


県北部の佐々町でも町がEM培養装置を設置
 長崎県佐々町(大瀬町長、14,000人)は、隣接佐世保重工業地帯の住宅地として発展しているが、町内を流れる県下最長を誇る佐々川が生活排水の流入や河川の改造により、嘗て大量に採れた鮎や白魚が全く採れなくなっているという。こうした中、佐々川再生の会(志水会長、55名)は、前田事務局長が中心となってEM技術の習得に努めるとともに町に働きかけ、EM培養装置と1tタンク3基の導入を実現し、平成16年12月からEM活性液とEM団子の大量投入による本格的な佐々川浄化活動を開始している。また、同堤防には、EM技術活用による山桜並木の創生・定植活動も並行して進められている。


大村湾再生にもEM技術の導入を検討
 大村湾は、長崎県の中心部に位置し長崎空港やハウステンボスを擁する面積約320平方kmの内海であるが、湾内外の出入り口が小さく閉鎖的な水域であるため河川の影響を受けやすくヘドロが多く堆積していると言われている。こうした大村湾の現況を調査し環境改善を図る目的で、湾岸市町村に事務所を持つ法人・個人60名による「大村湾再生研究協議会」が平成13年11月に発足している。同再生協では、有明海でのEM技術による浄化成果やU-ネット長崎からのプレゼンテーションに注目し、平部事務局長を中心に平成17年度中に湾内でEM技術の有効性テストを実施し、この評価を基に長崎県などの行政当局に大村湾再生プログラムを提出し、官民協働による大プロジェクトを立ち上げる(同事務局長談)としている。


〜福島県の全104商工会がEM環境浄化事業に足並みをそろえた〜
 10月14日福島市で開かれた福島県商工会連合会等主催の4R(リフューズ、リデュース、リユース、リサイクル)運動推進セミナーに比嘉教授をお迎えし、EM技術を実践している最新事例が発表された。当日は福島県内各地から約200名の参加があった。

 まずは、梁川町商工会女性部 斎藤 光子部長のEM推進活用事業についての発表。EMとの出会いは3年前。ゴミ処理費用の削減という大目標の中で生ゴミを有効活用する方法としてEMボカシと出会ったのがきっかけ。1年目はEMボカシ作りからEM生ゴミ堆肥作り、EM生ゴミ発酵液やEM米のとぎ汁発酵液の使い方を実践し、家庭の中で手軽に取り組める「わかりやすいEMの話」という冊子を発行した。
 2年目には福島県地域づくりサポート事業を活用。出張EM推進勉強会を10回約300名の方に開催。また、EM生ゴミ堆肥の有効性を示すためEM実験畑「どりー夢」を活用し野菜作り、花作りをして比較検討会を開いた。「わかりやすいEMの話?」にはデータを重視する行政の方も納得するような比較データがぎっしりと載っている。そして、3年目は「EM生ゴミ堆肥利用花のコンクール〜EMフェスタ〜」を実施。阿武隈急行の梁川駅構内および駐車場を貸しきって町民の皆さんに花のコンクールやEM実演相談コーナー、EM堆肥を利用した野菜の試食などでEMの有効性をPRした。

 次に福島県県北17商工会女性部合同で行われたEMインストラクター養成講座について養成講座の校長を務めた東和町商工会女性部 服部 淳子部長の発表。U-ネット福島県リーダーの華山芳朗氏を講師として迎えて週に1回1日4時間合計16時間開催された。養成講座の目標はEMについて正しい知識を身につけEMについて実践、指導することのできる「EMインストラクター」を養成すること。参加者55名はEMについての基礎知識から始まり、米のとぎ汁EM発酵液、EMダンゴ、EMボカシ、EM石鹸などの作り方、使い方の実践を学び、現在各地区開催の講座等でEMインストラクターとして活動し実践指導しているとのこと。 東和町商工会女性部 服部部長。EMインストラクター養成講座では校長先生を務めた。
東和町商工会女性部 服部部長。EMインストラクター養成講座では校長先生を務めた。

 次に船引町商工会女性部 井出 ミツ子部長と事務局の佐瀬 千春さんが「良笑夢(EM)エコタウンをめざして」と題して発表した。EMに出会ったのは2年前。掲げた目標は米のとぎ汁を流さないことと商店街の活性化であった。その目標に向かって、EMインストラクターの資格を持つ4名を中心に町内各地区で出張出前EM講習会を実施し、各家庭から楽しく実用的にEMを使う方法を指導。EMを購入する際の不便さをなくす画期的なアイディアであるEM取扱店は現在53店舗となっている。
 レジ横にEM資材を置くことでお客様とのコミュニケーションが生まれ、お店の商品も売れる相乗効果が出始めている。当日会場で配られた「ふねひきEMecoMAP」には53店舗のPRやEMで建築、EMスミカ、EMで浄化、EMの露天風呂、EMでプール掃除、EMで悪臭対策、EMでキレイな公園など船引町内のEMを使用している事例がすべて載っており環境の町ふねひきの情報発信をしている。

 最後に比嘉教授が「環境と健康におけるEM技術の応用」と題して基調講演を行われた。
 まず、事例発表に触れ、EM生ゴミ堆肥の有効性に関して硬いお役人でも納得するデータが充実していて説得力のある梁川町、おしゃべり上手な女性の皆様がEMインストラクターを取得し、地元のお隣近所に普及していくことの有効性がはっきり分かった県北17商工会女性部、住民の利便性を考えたEM取扱店の募集など民主導、官参加型で町の活性化を実践している船引町など三つすべての事例がEMを使っていることで創造的なものの考えが生まれ、知恵を出し合ってお金のほとんどかからない高品質なものを生み出す体制が確立しつつあると大絶賛だった。また、全国、全世界の環境、農業、工業、健康などのEM事例をスライドを使って説明し、参加者全員真剣な面持で熱心に聞き入っていた。


介護福祉を中心にEMをフル活用
〜愛媛県アトムグループ、NPO法人アクティブボランティア21の活動〜
 ますます高齢社会が進む中、福祉の役割が非常に大きな位置をしめてくるのは確実。その最先端の事業を行う愛媛県のアトムグループ及びNPO法人アクティブボランティア21の活動を、今回、常務理事三好達也さんとEM担当スタッフ井上二郎さんに案内していただいた。

 知的障害者更生施設「希望ヶ丘」では、入所者の皆さんがEMボカシ等を使用し、広大な畑で野菜や花を育てている。アクティブボランティア21の母体であるアトムグループがEMに取り組むそもそものきっかけがこの農園での野菜作り。平成11年から取り組み、土地の所有者からは「石だらけの痩せた土地なので野菜づくりができるわけがない」と見放されていたようだが、その後の作物の素晴らしい出来栄えに今ではEMに興味を持ち始めた地域の方も多いとのこと。

希望ヶ丘農園でできた作物は主にアトムグループの施設給食の食材として使われる。皆さんにこやかで、広々とした空間の中のびのびと活動されていた。EM活性液は希望ヶ丘に隣接する八倉医院内に百倍利器を設置して製造、また施設から出る生ゴミは蘇生利器により堆肥化(一部は豚の餌)。医院内の食品加工研究所「おいしん坊」では希望ヶ丘の野菜を使ったこだわりの季節料理が作られ、地域のお年寄りがデイケアサービスの一環として楽しげに昼食に訪れていた。 「おいしん坊」のおいしいの食事の前で。アクティブボランティア21常務理事 三好さん(右)とEMスタッフ井上さん。
「おいしん坊」のおいしいの食事の前で。
アクティブボランティア21常務理事 三好さん
(右)とEMスタッフ井上さん。

 介護老人保健施設「れんげ荘」では毎日厨房から出る米のとぎ汁を利用しEM発酵液を製造。厨房内ではパイプのつまりや油汚れ、サビなども取れてきれいになったという。施設内ではEM発酵液が自由に使用できるよう設置され、清掃、おむつ消臭、シーツの洗濯、ポータブルトイレの掃除等に活用される。作業は簡単ながら効果は抜群とのこと。入浴にも「しゃぼん玉EM石けん」の使用とともに活性液を浴槽へ投入し、「皮膚の乾燥がなくなった」とお年寄りたちからも好評。それらの排水はすぐ近くの川に流れるが、その箇所には鯉がたくさん集まっていた。

 また、松山城の堀水浄化活動も平成15年度から開始。アクティブボランティア21の皆さんによる活性液の投入(週1回、6t)に加え、週に一度、前述の希望ヶ丘の皆さんによるEM団子や米のとぎ汁EM発酵液の投入も行っている。お堀の脇をたまたま散歩していた市民の方が、「前に比べてずいぶんと色が変わってきたと思ったら、そういう活動をやっていたのね」と関心深くおっしゃっていた。データや記録などもきちんと取られており、透視度は年を追うごとにどんどんと上昇している。EM講習会も要請に応じて随時行っているので、地域での認知も高いようだ。

 ほかに病院、在宅介護、デイサービスなど、各所でEMが活用され、簡単に使えて安全なEMはアトムグループの事業全般にかかせない存在のようだ。医療、福祉、教育、サービスと各分野で多くの事業展開を行うアトムグループだが、今後、さらに現場の成果がアピールされれば、他の多くの施設でも活用されていくと思われる。安心安全で健康を促すEMは医療、介護の現場でもますます必要とされるだろう。


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