北上川流域で進む大自然の再生活動とEM技術の活用
〜学校では90を超える小中学校がプールの浄化・清掃にEM活性液を使用中〜
 岩手県は、日本一広い面積と美しい大自然を誇りとする県であるが、県央を流れる北上川の汚染や青森県境で発見された産業廃棄物の大量不法投棄が県民の心を痛めているという。こうした中、行政や住民ボランティアによる自然環境回復活動も活発化しており有用微生物群EMの活用も拡大している。U-ネット岩手を中心とした現地活動をリポートする。

「北上川流域市町村連携協議会」がEM活用による環境改善を推進

 北上川流域市町村連携協議会(会長、高橋光夫水沢市長、以下連携協議会)は、平成9年に北上川流域の岩手・宮城両県36市町村により結成され、小中学生による「水の健康診断」活動、生徒と住民による「河口域清掃」活動や「22世紀ブナの森づくり」植林活動などを展開して全国から注目されている。平成15年度からは「有用微生物(EM菌)による環境改善実験」を新たなテーマとした活動をスタートさせている。“水質浄化実験”では、モデル地区として指定を受けた水沢市、江刺市、千厩町、滝沢村など6市町村地区が北上川流域の河川・排水溝の浄化を、また“生ごみリサイクル実験”では、モデル指定の4小学校が生ごみ堆肥化と野菜栽培の体験・観察をするなど、U−ネット岩手やEM研究機構盛岡事務所の支援を受けながら環境改善活動に取り組んでいる。

原点は盛岡市内小中学校プール等でのEM活用
 U-ネット岩手によるボランティア活動は、学校プールの水質浄化、盛岡城お堀の浄化、盛岡市保護庭園「一の倉邸」のアメリカシロヒトリ防除など多岐にわたり、新聞、ラジオ、テレビなどにも度々取り上げられ、EMを活用した岩手県内のボランティア活動に大きな影響を与えている。 >EM活性液投入プールを清掃する小学生たち
EM活性液投入プールを清掃する小学生たち
(写真提供:盛岡市立高松小学校)
 特に、学校プールへのEM活用は、平成13年夏に市内5校プールでの試験投入に始まり、同年10、11月には盛岡市教育委員会との協力により同市内の全ての小・中学校・37校(水抜きしている学校を除く)に拡大、翌14年のプール再開1ヵ月前にも再投入してヘドロや悪臭の減少、清掃作業の軽減、清掃用薬品の使用削減を実現している。また、U-ネット岩手による平成16年11月の全校向けアンケート結果では、プールにEMを投入中の約7割の小学校が<環境学習の一環としてのEM活用>を検討している。

岩手県各地でEM技術活用による自然環境回復活動が活発化

水沢市とボランティアの活動が「連携協議会」を動かす
 水沢市では、同市職員による個人的な“水沢公園池の浄化”や同市内のU-ネット(エコ・ピュアハート、今野祥子会長)による“見分森公園池の浄化”活動等が活発に進められており、行政もEM培養装置の購入などして市民活動を積極的に支援している。同市に事務局を置く連携協議会は、こうした市とボランティアの活動に刺激を受け、EM研究機構盛岡事務所の支援を得て平成15年度からEM活用による環境改善実験事業をスタートさせた(U-ネット佐藤美保子さん)という。同実験に係わる資金は「全国モーターボート競走施行者協議会」及び「東北建設協会公益事業」の助成金を当てている(同)。

期待される行政による市民活動への支援強化
 連携協議会を中心とした「EM技術を活用した北上川流域の環境改善実験」は緒についたばかりであり、自然環境の本格的な回復を実現するためEM関連機関による技術的なサポートの継続に加え、関係市町村、岩手県、国土交通省、農水省等による更なる支援の強化が期待されている。

「ブナの木園」が施設建設と運営にEMを本格活用
 社会福祉法人平成会(岩手県一関市、佐藤正春理事長)は、平成14年の福祉工場ホームラン・豆腐製造工場の建設に際し、建物の床・天井・壁の全てのコンクリート・クロス・塗料・糊にEMセラミックスパウダーとEM-Xを活用している。また、同施設での豆腐製造についても製造用水槽にEMセラミックスパイプを設置するなど徹底したEM技術の活用をしている。同施設の運用に当たっても、継続事業の生ごみ発酵用EMボカシの製造・販売(バケツを含む)に加え、平成15年から同施設豆腐工場の“おから”活用による農業用EMぼかしの製造・販売、りんご園へのEM使用、特別養護老人ホームでのポータブルトイレや洗濯への活性液活用、EM石鹸の製造・販売など各種のEM活用を実現している(加藤健治作業指導員)。
 同施設では、「EM活用を徹底した結果、利用者、職員が活き活き活動しており、経済的な効果も出ている。」(小野寺毅園長談)という。更に、同施設では社会貢献活動の一環としてボランティアによる排水溝への活性液大量投入も実施し、市内用水路の清流化活動にも取り組んでいる(同加藤健治さん)。

10万人の生ごみリサイクル事業にEM技術が貢献
 盛岡・紫波地区環境施設組合清掃センター(盛岡市都南地区・矢巾町・紫波町、佐藤勉事業所長)では、平成4年度の「地域資源リサイクル推進新事業」として導入した生ごみリサイクル事業が同コンポストセンターから出る悪臭のため地域住民・作業員を悩ましていた。こうした中、U-ネット岩手の働きかけに応じ平成15年にEM技術の導入テストを実施して悪臭解消の効果を確認し、平成16年度からはEM培養装置の導入による活性液の本格投入を開始し、悪臭の削減、作業環境改善、排水溝のヘドロ削減、生産堆肥の品質向上等に大きな成果を上げている(同センター、中村明彦主任主事)。同センターは、行政区域人口約11万人・3.7万世帯を対象とし、自己活用している約1割を除く約10万人の家庭生ごみをリサイクルしているだけに、日本における大規模生ごみ処理の改善事例として注目されている。

“えさし藤原の里”でもEM活用で効果
 平成17年のNHK大河ドラマ“義経”ロケ地として観光客から人気を呼んでいる“えさし藤原の里”でも平成14年5月からU-ネット岩手の働きかけで<施設内池の悪臭と汚濁対策>のため活性液の投入を開始し、「悪臭が解消し透明度もアップ、アジサイやスイレンの花や葉も鮮やかになっている。」(近藤ユウコ、同事務所課長補佐談)。また、「池の鯉に出ていた斑点も見られなくなった」(活動を支援している“えさしEMエコくらぶ”高橋利明会長)という。


環境浄化から災害被災地への支援活動
 今回、EMの普及啓蒙活動(勉強会、講演会等)や環境浄化活動歴が長く経験も豊富なU-ネット東海地区リーダーの石川邦夫さんとお仲間の加藤さんから河川浄化の現地案内を、また石川さんからは豪雨災害被災地支援時の体験談を聞きました。

活動により行政も動きだした
 愛知県刈谷市で星野長夫さん達による「吹戸川の自然を守る会」が平成14年7月から活動を開始し、30倍に培養した活性液で米のとぎ汁EM発酵液を作り、月に2回200リットルずつ橋の周辺(写真参考)からヘドロの多いところを重点として投入されている。
 投入箇所の周辺は表面に砂が見えるようになっており、投入箇所の上部との差はハッキリしていた。当初EMに対して反対の文書を出した知立建設事務所も浄化の効果が表れてきた事等から、最近では投入用として堤防に3ヶ所の階段を設置してくれるようになった。刈谷市等の周辺行政や市民の更なる支援の輪が広がることが期待される。周辺を散歩する人から「きれいになったね。」の声を聞く喜びを糧としている活動によって、遊べる川になる事を期待したい。 「吹戸川の自然を守る会」の皆さんと石川運営委員(右)
「吹戸川の自然を守る会」の皆さんと
石川運営委員(右)

カワセミ、合鴨が住み着き、鯉や小魚の住む川等をもっときれいに
 「刈谷市民会議 環境委員会(杉浦伸司議長、鈴木豊美さん、長田郁雄さん他)」によるEMを活用した恩田川の浄化活動は昨年の始めから開始され、米のとぎ汁EM発酵液が毎週54リットル投入され、2週間毎に投入されているEM団子の累計は8640個にもなっている。
 EM団子が投入された所はハッキリと砂が現れ、周辺との違いが際立っており、ここでも投入場所の上流との差は歴然としていた。

 なお、この河川にはカワセミも飛翔しカルガモや合鴨も多数住み着いており、鯉の群を見ることも出来た。昔ほどはいないがザリガニもおり、なお一層きれいになれば、桜並木共々子供たちが自然を満喫できる場所になるだろうと思われた。
 これらの実績から新たに薬師川の浄化活動も始まり、また、同会では市内の双葉小学校の児童と一緒にEMによる環境浄化活動が行われて、地域と一体となる環境活動の推進が図られている。

被災地支援活動への取り組み等
 昨年9月29日の台風21号の影響で、時間降雨量137mmの豪雨のため山から水が押し寄せ、全世帯4000戸中1700戸が床上浸水という被害が発生した三重県海山町では、水が引いた後、ゴミで町が埋め尽くされたような惨状であった。
 U-ネット技術委員の山路誠二さんと神谷医院の古橋医師が中心となり、愛知県から駆けつけた石川さん、EM研究機構の岡さんも一緒に10月3日〜10日の間EMを散布して悪臭抑制に大きな効果を発揮した。活性液は当初100倍に希釈して散布されたが、伝染病予防対策として散布されたクレゾールの刺激臭による頭痛等に対処するためには、25倍程度の希釈液のほうが大きな効果があったそうだ。

 当初は医院、学校等に実施していたが、効果を聞きつけた民家から要請があり、床下を重点とした散布が行われ、民家1戸当たり、活性液の原液4リットル程度を約25倍に希釈して散布した。今回の体験としては、「新建材による床や壁は見るも無残に膨れたために更新するしかなかったことを目の当たりに見て、昔ながらの板材を見直した」との説明があった。
 なお、愛知県で開催されている万博「愛・地球博」では、地域プロジェクトでEMの活用を訴えるコーナーもあり、5月27・28日には瀬戸会場市民広場で「よみがえる未来〜EMセラミックスの可能性」という市民フォーラムが開催される予定である。




ますます活動分野を広げるにこやかグループ
〜NPO戸田EMピープルネットの活動〜
 埼玉県戸田市で活動を行うNPO戸田EMピープルネットは、河川の浄化などでも実績をあげてきたが(最新情報2003年5月10日参照)、昨年6月より開始された生ゴミリサイクルもすっかり定着してきた。市と委託契約を結び、財団法人からは 200個のバケツの助成も受けている。

 始めた当初はバケツ20個だったが、この日はバケツ123個で580kgを戻し堆肥として処理した。月に2回回収し、重さを量って細かく粉砕。前回作った堆肥と混ぜて堆積していく。バケツには名前が書いてあるので、「生ゴミの形状が大きすぎるので細かくして欲しい」などの要望を伝えることができる。それぞれの家庭での協力も非常に重要だ。分解促進には古い布団をかぶせることで微好気状態にし、かつ水分もたまらないという仕組みで、高温になり分解もしっかりとできる。「1tのゴミを燃やすと300kgの二酸化炭素が排出される。これらを削減しているこの活動は非常に大きいこと。」と当初から活動を共にしている中名生市会議員。議員はこの日、蕨戸田衛生センターの議会議長に就任することが決定し、今後の活動への励みとなる知らせに皆さん喜びの様子だった。

 活性液は培養装置2器と下水処理場に置かれた1tタンク2器を使用して培養するほか、ぼかしづくりも行い協力家庭に生ごみ処理用として配布する。蘇生利器で生ごみを発酵分解した団子状のものは、排水路や河川に投入することで、ウナギ、スズキ、ナマズ、コイ及び小魚などの生物が出てくる効果が現れた。

 最近では、戸田市が古布をリサイクル加工したフェルトで屋上緑化のための芝を育成する計画もあり、現在役所のベランダで準備実験中。フェルトをEMに浸し、ピープルネットで作った堆肥を薄く敷いて芝の発育を促すのが目的だ。焼却すると費用は1tで約2万5千円かかるとのことで、年に350万円の節約が見込めるため戸田市長も乗り気とのお話。

 道具を手作りしたり、掃除も皆で協力して手早く行う。「趣味でやっているから楽しく続くんです。」という声もあり、昼食を持ち寄り終始和気あいあいとした雰囲気だ。カラオケ仲間から始まったという約30名のグループだが、最近では秋田県の市議会議員や、韓国のソウルからの視察もあり、毎日忙しい日々を送っている。

 総務部長の池上幸子さんは「あまり大きく手を広げずとも、できることを着実に進めていければと思う。」と誠実さがにじみ出るコメントだったが、短期間でのこの広がりにメンバーの皆さんの意気込みも強い。今後どのような展開が繰り広げられるのか、ますます楽しみだ。 活動後、さわやかな笑顔の皆さん
活動後、さわやかな笑顔の皆さん


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