高知県とNPOが協働で有機のがっこう「土佐自然塾」を開設
〜無農薬有機農業を核に農林水産業の再生と地域経済の活性化に取り組む〜
 高知県は、近代日本の先駆けを造った坂本龍馬や板垣退助等を輩出した土地として有名である。しかしながら現在は、山間地が多いため急速な人口の過疎化と高齢化に悩んでいる。こうした中、無農薬有機農業を核とした農水産業の再生と地域経済の活性化、そして美しい日本の環境と文化の再生を目指した新しい挑戦が始まっている。「土佐自然塾」の開設を中心とした動きを現地リポートでお届けする。

美しい日本の環境と文化を取り戻し「田舎からの国造り」を目指す
EM技術活用の山下農園が原点
 NPO法人黒潮蘇生交流会(高知県、山下修理事長)は、高知県との協働事業で有機のがっこう「土佐自然塾」を設立、平成17年7月に同塾の拠点・土佐町の山間で開所式を挙行し一般公開を行った。同塾は、山下一穂塾長が平成11年から取り組んでいるEM技術活用による無農薬有機農業が原点となっている。平成15年には、5年間の経験を基に有機農業を始めたい人へのメッセージとして「超かんたん無農薬有機農業」を発刊。CD-ROMにより栽培技術と手順を公開し、無農薬有機農業を志す若者たちの指導も進めている。
「土佐自然塾」の看板を掲げる関係者

「土佐自然塾」の看板を掲げる関係者
山下塾長(左)
橋本高知県知事 山下理事長(U-ネット運営委員)
西村土佐町長
 山下農園の無農薬有機農産物は、県内及び阪神地区で評判が高く、生産が需要に追い付けない状況が続いており(山下談)、高収益の自立経営を実現している。

高知県知事が積極推進
 橋本大二郎高知県知事は、山下一穂さんたちの先進的な無農薬有機農業に注目し農林水産部環境農業課を中心として「有機農業栽培技術の開発」と「人材の育成」を進めている。
 地元NPOとの協働による「土佐自然塾」の開設はこうした流れを具体化したもので、有機農業支援事業費として14,800千円を計上し、環境農業課の技術職員2名(同塾の専任講師)を派遣する。「有機のがっこう土佐自然塾を拠点に、無農薬有機農業を推進し農林水産業の再生、地域経済の活性化を積極的に推進して行く(開所式挨拶)。」としている。

塾卒業生の地元就農を期待
 同塾のある土佐町(4,900人、西村町長)や近隣市町村では、卒業生による地元での就農に強い期待を寄せており、地元に残ることを前提とした各種支援プログラムを検討中(同町長談)である。また、高知県では「卒業後県内で就農する塾生に対する授業料支給制度を導入する」(県環境農業課)。こうしたNPOと県や市町村行政との協働による無農薬有機農業を核とした地域経済活性化への取り組みは、農薬・化学肥料による環境破壊、少子高齢化による衰退が進む山間地農業の新たなビジネスモデルとして期待されている。

土佐自然塾の講座と募集概要
 同塾の講座は、有機農業の実習(公開講座)をはじめ、各種野菜栽培・水稲栽培・果樹栽培・花卉栽培の基礎知識、雑草防除・植物生理・病虫害の防除、土壌肥料・堆肥の製造、農業経営、流通・販売、法律・制度、その他最新情報に関わる科目96コマ約300時間を予定。入塾者の募集を平成17年9月から開始している。(問合せ先:電話0887-82-1700)



高知県では水産業界と住民が河川や海の浄化に取り組み中
 高知県は「土佐のカツオ」として全国に知られているが、水産業界でもEM技術を活用した河川や海の浄化活動が活発になってきている。また、行政もEM培養装置の購入補助など浄化活動の支援を積極的に進めている。こうした中から、鰹節加工の町・土佐市宇佐町とカツオ一本釣りの町・佐賀町の取り組み状況を現地リポートする。

町内連合会と水産加工組合が協力
 アメリカ漂流漁師ジョン万次郎の生誕地と知られる高知県土佐市宇佐町では、長年カツオの加工作業から出る内臓や汚物による悪臭とヘドロの堆積に悩んでいた。NPO法人黒潮蘇生交流会(山下修理事長)の勧めで地元町内会とカツオ加工業者が平成13年頃からEM技術活用の先進地を訪問し、開発者比嘉教授による直接指導を受けるなど積極的に取り組み、平成14年6月には土佐市の助成金を獲得してEM培養装置2基の導入に成功している(U-ネット通信22号で既報)。
 EM技術導入後3年が経過した現在では、加工業者15社のうち13社と住民の実に7割強(町内会連合会29地区1900戸のうち23地区1500戸)が同培養装置で培養した活性液を活用している(山本幸一郎、宇佐地区町内会連合会事務局長)。既に、悪臭が解消しヘドロの堆積も減少している。また、同事務局長は「近く地震津波対策として排水路の拡幅・掘削工事が予定されており、大量の排水が溝に滞留することになるので、今後は更に活性液の使用量拡大を図りたい。」としている。

佐賀町では行政が積極推進
 カツオの一本釣りやくじらウォッチングで有名な高知県南西部の佐賀町では、町内を流れる用水路の浄化、漁協の排水浄化、家庭トイレの臭い消し等にEM技術を活用している。EM技術の導入は、浜田仁司さん(同町幹部職員、NPO黒潮蘇生交流会理事)が推進役となり、町の助成金を得て平成14年にEM培養装置2基を設置している。同町では、漁協婦人部の明神里寿さんたちが中心となりボランティアで活性液を培養し、2?のペットボトルに詰め替え配布している。同活性液は全て有料配布で、町役場(トイレ・掃除)、漁協・漁師(排水)、一般家庭(トイレ・排水)、学校(トイレ・プール)など各方面で活用されている。(明神さん談)

四万十川流域でもEM技術で減農薬農業
 日本一の清流として名高い四万十川の流域に位置する高知県窪川町では、平成11年頃から水稲や生姜の栽培にEM技術が活用され、減農薬栽培が進められている。特に同町神ノ西地区の岡本さん宅では、長男が農業大学卒業後アメリカで農業研修を経験しこともあり水稲2.4町歩、生姜2.5町歩の全てをEM活性液やEMぼかしを使って栽培している。同長男は「アメリカでは無農薬有機栽培が日本より遥かに進んでいる。自分は農薬を絶対に使用しない」と宣言し、農薬付けの日本農業を憂慮している(母親談)という。

野市町では全校のプールがEM活用
 高知県の中東部に位置する野市町は、今時人口が増加している町、県下で最も人口が多い町(6,500世帯、18,000人)として異彩を放っている。また、同町は、集落排水浄化施設や合併浄化槽の普及促進で町内を流れる中小河川もヘドロの堆積は無い。こうした恵まれた環境の中、ボランティア団体・EMいきいきライフクラブ(長尾勝正代表、町議会議員)は、学校プールもEM活性液できれいにしようと3年前から町内全校(小3、中1)に働きかけ、遂に今年からは全校ともプール清掃にEMを活用している。
 また、町内を流れる中小河川にヘドロは無いものの3面コンクリート張りや農薬使用の影響で、魚やカニ類の姿が見られなくたっている現状を憂慮し、平成17年6月に小型EM培養装置を町の補助で設置している。今後は、中小河川の上流各地に二次培養用の1トンタンクを多数設置し投入する予定(福田豊治ライオンズクラブ役員、元町助役談)という。
中小河川浄化用EM二次培養タンク一号と世話役の福田さん
中小河川浄化用EM二次培養タンク一号と世話役の福田さん



第1回「善循環の輪」の集いを新潟市で開催
地域活動の輪の拡大と連携強化を目指して
 善循環の輪は、U-ネットの活動の一環として、EMの最新情報の提供やEM技術の交換・協力をもとに、全国各地で環境浄化活動に活躍されている団体との緊密な関係を結ぶことを目的に、平成15年度に設立された。本年4月18日現在で加入は200団体となっている。
 これまで、加入団体に対し「善循環の輪」通信が定期的に送信されていたが、設立目的を更に充実させるため、本年度から地域における「善循環の輪」の集いを開催することとなり、その第1回目が7月30日に新潟市豊栄中央公民館で開催された。この交流会は「にいがたグリーンネット21」による本年度3回目の環境講演会に併せて、U-ネットとの共催で開催され、豊栄地区コミュニティセンター、豊栄EM普及協会の協力と新潟市民環境会議の後援を得た。

車座による参加者の発言を主体とした懇話会形式で
第1回「善循環の輪」の集いを新潟市で開催 新潟における善循環の輪への加入は現在までに6団体であるが、善循環の輪の理念に基づき、未加入団体にも参加を要請し、“有用微生物群(EM菌等)が地域を変える”とのサブタイトルで、兵庫県、山形県からの参加者もあり、約30グループ150名の参加を得て開催された。会議は円卓を中心とした車座形式により、13時から「にいがたグリーンネット21」代表による歓迎挨拶で始まり、主催者代表として「善循環の輪」代表世話人の木村将人氏による善循環の輪の推進要請、有機農業推進議員連盟:森裕子参議院議員の挨拶のあと、比嘉教授からEMによるシントロピー(善循環)に対する悪循環、放射線対応事例、汚染源にEMを付与することにより浄化物質に転換する等、EMの活用によって善循環を進めることが社会への大きな貢献である等の講演が行われた。その後、U-ネット運営委員の柄澤さんの司会により、全参加グループによる活動状況の発表、質問、アドバイス等で予定時間一杯の17時30分まで行われた。

 先ず地域やグループの取り組みについてのパートから始まり、村上市、中条町、山形県南陽市、佐渡市、豊栄EM普及会、新潟市各地区コミュニティ、田上町、十日町、魚沼市、巻町のグループ代表からEM活動への取り組み開始から現在の状況について説明が行われた。内容は生ゴミ処理、河川浄化、学校でのプール清掃、EM団子の作り方と出来栄え等についての苦労、悩み、改善効果等があり、教授への質問や確認、関連して校長先生によるEMの効用やコミュニティ活動を先行スタートした小川元豊栄市長による地産地消をからめた地域のあり方等多岐に渡っていた。

 小休止の後、農業や企業での活用に関するパートに移り、真鴨の養殖への活用から畜産及び有機農業への展開を進める中で鴨の精肉中の雑菌数が極端に少なく、疑念を持った県によって繰り返し調査が行われた話、阿賀野町におけるメダカの養殖と商品開発、梨園や水田への活用についての事例発表がなされた。遺伝子組替え稲の実験栽培への懸念や塩害対応に関する質問があり、比嘉教授から遺伝子組替農産物で増収や味が向上した事例がないこと、塩害に対する対処技術についての回答があった。兵庫県(三田市)においては養鶏農家での拡大が進んでいるとの話を持って発表は終了し、比嘉教授による新しい時代の教養としてのEMを活用、楽しむ等の話を含みながらの総括が行われた。

 最後に、浜渕委員長から東京でも日本橋川の浄化の開始、芦屋での浄化活動等現在の活動状況の報告と、今後、更に発展させるためには横の繋がりを強化することによる情報の共有が要点であり、善循環の輪が益々重要となる旨の閉会挨拶を持って終了した。本集会は互の発表を聞き、意見交換することにより、これまで抱えていた悩みや問題解決の手がかりを得、且つ、仲間作りの場にもなり、今後、仲間としての連携強化も進み、更なる成果が生まれてくるとの予感がした。

 また、今回の集会に併せたEM栽培による農畜産物、加工商品等の試食直売もほぼ完売し、中には注文を受けたものもある等非常に好評を博していた。
 次回は長崎県で、その次は兵庫県で開催されることが決まっており、その後も日本全国各地で展開される予定となっているので「善循環の輪」の集いの展開により仲間が増え、活動が大きく拡大していくことを期待したい。


お江戸<日本橋>で第35回目の橋洗いイベント盛大に挙行
 〜今年から日本橋川の浄化のためEMシャボン玉石けんとEM団子が登場〜
日本橋を愛する者たちの恒例行事
 日本橋は、江戸時代の五街道(東海、中仙、甲州、奥州、日光)の起点として、また、現在は国の重要文化財に指定されるなど、日本の橋のシンボル的な存在となっている。
 同橋洗いは、35年前に地元町内会の青年団を中心に始められ35年間一度も中断されること無く現在まで続いている。同イベントは日本橋保存会が主催し、地元法人会、小学校、商店など橋を愛する者たちや全国からのボランティアが加わり、地元消防団、警察、国土交通省が協力して毎年7月の第四日曜日に開催されている。今年の参加者は約1,200名。

橋の下を流れる日本橋川の浄化を!
 今年は恒例の橋洗いに加え、日本橋川の浄化宣言セレモニーが加わった。これは「橋の下を流れる日本橋川を是非浄化したい」という主催者の強い要望によるもので、河川浄化で実績のあるEM技術を活用することになった。今年の橋洗いには「流れた洗剤が河川の浄化源となるEMシャボン玉石けん」を使用し、橋洗い終了後には「EM団子3,100個(NPO法人・戸田EMピープルネットが協力製造)」を参加者の手で橋から川に投げ入れるセレモニーが行われた。

期待される浄化活動の継続と近隣河川浄化への波及効果
 イベント終了後のご苦労さん会では「日本橋川の浄化活動」が大きな話題となり、<地元婦人会参加のEMセミナー>や<開発者比嘉教授の講演会>などの開催要望が出された。また、NPO法人・地球環境共生ネットワーク(U−ネット)の浜渕運営委員長からは「地元の皆さんによる浄化活動を全面的にサポートして行きたい」とのエールがあった。日本橋は日本のシンボル的な存在であり、同川が浄化されると近隣河川の浄化促進への波及効果が大きいだけに、日本橋を愛する人たちによる今後の浄化活動が期待されている。

EM技術活用について参加者に説明するU-ネット浜渕運営委員長
EM技術活用について参加者に説明するU-ネット浜渕運営委員長


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