宮城県下で広がるEM技術活用による学校教育
 宮城県は、東にリアス式海岸、西に栗駒山や蔵王山を持つ奥羽山脈など自然に恵まれた風光明媚な地域である。歴史的には 、独眼流伊達政宗に代表される、この地方独特の文化圏を育んできている。こうした宮城県においては、学校教育・授産施設 などの教育現場で「豊かな心を育む」優れた教材としてEM技術の活用が徐々に広がりつつある。同地区における活動の広がり を現地リポートでお届けする。

開校10周年記念事業の「森づくり」
 仙台市立高森中学校(三浦秀雄校長、生徒342名)では、平成11年度に、学校とPTAが協力して、校内の空き地を活用した約 460坪の「10周年の森」を作り上げた。この森のコンセプトは「人生」で、森の中心には「花の小川」と名付けられた全長69m の花壇がある。この花壇には、全校生徒が学年ごとに仕事を分担しながら、給食残渣から手作りの堆肥を、近隣公園の落ち葉からは腐葉土をつくって苗を育て、四季折々の花を咲かせている。現在同校では、給食残渣は、毎日乾燥機で乾燥しEMボカシを混ぜて堆肥に。また、落ち葉は、米の研ぎ汁EM発酵液(エコ清流と呼称)を加え、シートでカバーしながら月に一度の切返し作業を4度実施して腐葉土にしている。

豊かな心を育む環境学習に発展
 高森中学校では、同校の教育目標「未来に向かってたくましく伸びていく徳・体・知の調和の取れた人間性豊かな生徒の育成」を具現化するため、平成15年度から同作業を中学1、2、3年の総合的な環境学習の学習材としてカリキュラムに取り入れている。
 平成16年度からは、抽象的な概念の理解に陥る環境教育ではなく、「think globally act locally」の精神で、身近な自分たちの身の回りや地域など、地に足の着いた身近な教材から「豊かな心」を育てる(同校・研究のあゆみ)として、学校・PTA ・地域住民らが協力して、綿密で活発な活動を展開している。

花壇コンクールで次々と受賞
 同校のEMを使った「土づくり・花づくり」の環境学習は、平成17年度において、第42回花壇コンクール(宮城県主催)で優 秀賞を受賞。第37回宮城県学校花壇コンクールでも優秀賞並びに環境学習賞を受賞している。また、環境大臣とのタウンミーティングにも同校の生徒2名が特別参加するなど県内外で脚光を浴びている。
仙台市立高森中学校の生徒たちの手による花壇「花の小川」。生徒・PTA・地域が一体となって森を管理している
仙台市立高森中学校の生徒たちの手による花壇「花の小川」
生徒・PTA・地域が一体となって森を管理している
 タウンミーティングに参加した二人の生徒に、これまでの活動で特に印象に残る事は何かと尋ねたところ、「自分たちがEMを活用してつくった堆肥による花壇は、ホームセンターで買ってきた堆肥による花壇よりも二倍も大きく育った事です」、「腐葉土の中に昆虫など大小さまざまな生き物が沢山いた事です」と、目を輝かせて応えてくれた。教職員・PTAの地道な支援が「生徒の心の成長」に着実に結びついているようだ。

学校や授産施設の教育にEMがぞくぞく登場(宮城県)
学校の空き地を農園にした学校
 仙台市宮城野区の市立岡田小学校(男澤壽一校長)では、PTAや近隣農家の協力を得て、平成15年に校内空き地を利用して、 水田と畑約300坪の農園を造成。1年生から6年生の各学年がサツマイモ・カボチャ・野菜・水稲づくりの体験学習をしている。 学校給食の残渣は、乾燥機やEMぼかしで堆肥化してこの農園で活用し、お米作りの体験学習では、EMぼかしを使った完全無農 薬栽培にも挑戦している。

近隣の有機栽培農家が協力
 この農園で作業指導をしているのは、同小学校近くに住む鈴木英俊さん(鈴木有機農園経営)。鈴木さんは、EMを使った極上 のお米や野菜をつくる農家として有名で、宮城県の社会人活用・特別非常勤講師にも任命されている。市内各地の学校からの依頼を受け、「農業は健康を守る産業」と訴えながら環境に配慮した有機栽培の実践指導を続け、先生や生徒たちからは“ひでとしさん”の愛称で相談を受けている。

EM活用で学校と地域の連携強化
EM活性液でプールの清掃
 宮城県角田市の市立桜小学校(山田芳弘校長)では、「学力向上」などの重点努力目標と並行して「地域との連携」の強化をめざし、5、6年生を対象にEM発酵液による環境美化活動を取り上げている。同校は、角田市の各小学校に先駆けて平成17年 度から学校プールの清掃にEM活性液の活用を開始している。因みに、18年度には同市内9校のうち4校がプールの清掃にEM活性液を活用しており、来年は同市の全校が活用する見込み(鎌田三千子同市婦人会連合会長)という。

用水路をきれいにするプロジェクト
 同校では、総合学習授業に、角田土地改良区、角田市農林課との協力による「用水路をきれいにする」プロジェクトを組み込 んでいる。平成17年度においては、同校5年生による「水路の美化・浄化を訴えたポスター34点の作品展」を開き、市民の関心を呼んでいる。
 角田土地改良区では、学校・婦人会・市役所との協力によりEM技術を活用した水質浄化にも取り組みたい(同用水係・渡辺賢さん)としている。なお、このプロジェクトは「国営造成施設管理体制整備事業」の一環として進められている。



「EMによる農業で環境浄化めざす」兵庫県三田市・北摂EM研究会
情報収集・発信源「EM野菜販売所」
 兵庫県の南東部に位置し、豊かな自然環境と穏やかな気候に恵まれた三田市で、EM栽培をしながら毎月一回・EM研修会を開催するU-ネット兵庫県リーダー・北摂EM研究会理事長(会員35名)の林和夫さん。兵庫県尼崎市の依頼で、阪神電車・出屋敷駅前のショッピングセンター「リベル」(ダイエー跡地)にて、平成17年12月よりEM野菜の販売を始めた。日常の買い物に苦労している地域の高齢者のためとEM野菜の販路確保が目的だった。シャッターが下りた店舗が目立ち、一般通行客もない閑散とした1Fフロアー。
 売れるだろうかとの不安を抱えてのスタートだった。が、商店振興会や地域の方々の口コミ・応援と青森の木村将人さん(U-ネット運営副委員長)の高品質のりんごで信用を得ることができた。火・木・土曜の10時から17時。1日の売上は3.5万〜4万円。徐々に固定客ができ、現在約60人が利用している。あと20人増えれば採算がとれる。課題は、客のニーズにあった売れる野菜の栽培・販売と、売れ残り野菜を加工する工夫(惣菜など)。すでに仲間15人が兵庫県の研修所で勉強を済ませている。
 林さんは深夜0時、遅くても早朝2時に起きて、販売する野菜すべてをチェック。「良い」「美味しい」を分かってもらえれば「EM野菜」の販路が広がり、「EM」の普及に繋がるからだ。

放し飼い赤どり産卵率85%・EM養鶏農家
 販売所で人気なのが、三田市の開拓村にあるEMで農業を営んでいる北添さん(北摂EM研究会会員)の「庭先たまご」。ネットは張ってあるものの、広い鶏専用の庭で、雄と一緒の放し飼い赤どりの有精卵である。自家配合飼料と青草や緑黄色野菜、シイナ、屑ゴメを食べ、EM1000倍の水を飲んで元気に飛び回っている。弱っている鶏にはEMXの原液を2〜3滴2週間飲ませると元気になる。
 250羽で85%の産卵率。通常1年で廃鶏されるが、4年間飼育した1羽が卵を産み続けたことと、かわいがっている鶏を廃鶏にするのは辛いので、今後は長期飼育を考えている。
 ちなみに北添さんは、皇室に献上する「かち栗」を生産し、EMで幅広く農業や造園業を営んでいる。

兵庫県堆きゅう肥共励会「優秀賞」受賞・蓬莱牧場
 「食べて気持ちよく寝ててくれれば、いい牛に育つ」という蓬莱善子さん(北摂EM研究会会員)。黒毛和牛48頭と交雑種350頭がEMを散布した牛舎で、穏やかな表情で寝そべっている。牛舎特有の臭いが少ない。美味で評判の牛肉とともに、年間約800トンを生産する堆肥は評価が高く(平成14年度に優秀賞受賞)、供給が間に合わないほど。EMの入った餌と水で育つ牛の糞にEMを噴霧し、牛舎で十分発酵してから作る。4,000円/2トントラック1杯、袋詰400円/20Lで販売している。
 U-ネット会員で北摂EM研究会会員の中岡進さんも、ぶどう園でこの堆肥を使用。土が軟らかくなり、木の伸びが良いという。(有)大夢・農業事業部部長の西村和晃さん(元EM研究機構研究員・北摂EM研究会理事)も、稲作で使用。今年度の新米からリベルで販売する。

 蓬莱善子さんは「農業大好きネットワーク」を仲間20人と組織し、「農業の楽しさ・家畜や農作物のかわいさと美しさ・空気の良さ・香り」を一般の人に伝えていく活動もしている。
 貸し切りバスで、堆肥舎での「ぼかしづくり講習会」を受けに来たり、近所の子供たちがカブトムシ狩りに夢中になったり……。
有機栽培畑で左から田中さん、向当さん、井上さん
有機栽培畑で左から田中さん、向当さん、井上さん
今年は、幼稚園児から養護学校・大学の学生まで640人が、蓬莱牧場で楽しい農業体験をする。「園児がさつま芋を植えて帰った後の植え直しや水やりは大変だけど、それでも子供たちの喜ぶ顔が見たいから引き受ける」と。
 また、「今まで牛の飼育で手一杯で、休耕田にしていた田畑をEM農業することで、環境浄化に繋げていく。EMでの農業は、本当に楽しいよ」と笑顔で語る。

EM使用の専業農家だけの勉強会を来年4月開講準備中
 林和夫さんは、「EMを使用する専業農家が増えれば、広大な田畑で使われるEMが、河川、海にまで流れて環境浄化が進む」「EMの使用で良い農作物が作れて、販路が確保できれば、EM専業農家は増える。兵庫県の専業農家だけのEMグループで、多種の作物に合った使い方の勉強会をしたい」「美味しさを分かってもらえたお客様には、EMに関心を持ってもらえ、普及に繋がる」と考える。
 オーガニック工夫料理店の五穀菜々「ん」経営の松本英子さんは、林さんの販売所の野菜を料理に取り入れ、「おいしさが先行して、健康にいいというのは後からついてくる」と語る。
 リベルでの野菜販売所は「情報の収集と発信の拠点」として、店頭に立つ林さん。EMの仲間作り、ネットワーク作りにも力を注いでいるが、着々とその輪は広がっている。



福井県のEM活動はますます進展
 汚水処理施設などにEMを活用し地方財政が立て直ったことで有名になった旧宮崎村(現越前町)の今を、北陸地区運営委員の田中さん(県会議員)と越前「田んぼの天使」有機の会(有機JAS認定生産者)会長井上幸子さんと訪ねた。また、三方郡では松井さん(U-ネット技術委員)と三方五湖を訪ねた。

鯖江市では10年間でEM人口ゼロから820に成長
 平成5年に生活学校でEMを使用したのをきっかけに、EM技術の研修を目的として鯖江EM研究会が平成6年に設立された。平成10年には、鯖江ゴミリサイクル市民ネットワーク(田中会長)と改称され、昨年は10周年記念イベントを開催。会員数は約820名(31グループ)に成長し、研修会、河川浄化、視察研修会、環境フェア、収穫体験ツアーなど多彩な行事を毎年10数回取り仕切っている。
有機栽培畑で左から田中さん、向当さん、井上さん
有機栽培畑で左から田中さん、向当さん、井上さん


旧宮崎村ではEMは下水処理の他にもいろいろ
 越前焼の本場、旧宮崎村では、陶芸作家司辻光氏がEMセラミックスを練りこんだ水甕、ミネラルポット等を展示即売している。
 また、60歳の定年を機に、母親からEM有機農法の手ほどきを受けた向当さんは、EM発酵牛糞堆肥、EMボカシ(米ぬか60kg、油粕20kg、魚粉20kg、EM1及び糖蜜各180cc、水13L)と活性液を使っている。肉厚で甘いピーマン(グリーン300)は、EM発酵肥料と200〜250倍希釈活性液を週あたり20L位施用すると、暑さでおこる尻腐れや赤く日焼けすることをある程度抑制できる。150cmまで成長し、10aあたり約180本の植え付けで、節に2本取りが可能になる。10kg/本の収穫で、2,000円/本の祖収を目標に励んでいる。同じ畑に栽培しているイチゴ、西瓜、ブロッコリー、トマトなども立派に生き生きと成長している。
 汚水処理場は、EMを施用して臭気問題を解決、発生汚泥量を大幅に減少させることに成功し有名になった。が、町村合併後は脱水汚泥が再び臭気を発生するようになったという。早く原因を突き止めて改善し、芳香さえした汚泥に戻して欲しいものである。
 井上さんは、稲刈り後に貝化石とボカシを施し、荒田起しをして3週間後に代掻き。10日後に水をたっぷり張って代掻きを行い、トロトロ層を作ることにより、除草しない米つくりをしている。

三方五湖の水底が見えた?!
 松井さん(三方郡EM研究会会長)や「五湖と自然を守る会」(中西会長)による三方五湖の浄化活動は、2003年6月に開催された四日市の小川さんの講演会をきっかけに始まった。浄化活動の具体策を学び、北小学校の児童も交え、久々子湖のボートハウス前(約600平方メートル)の水域や早瀬漁港に約2,000個のEM団子を投入することから開始した。その後は、500Lタンク2基を購入し、米のとぎ汁発酵液の投入も開始した。当時は、ボートの繋留部の水底は年に数回しか見えなかったが、今ではほとんど毎日見える。岸壁の浅瀬にあったヘドロも消え砂地が現れ、美しいアオサも生え、シジミや小魚を確認できるようになった。今後はボート競技の出発部(約4ha)の浄化もライオンズクラブの支援を受けて始める。また、近接している観光会社?レインボーラインの頂上公園にある駐車場のトイレの悪臭もEMで抑制できた。感激した専務の村田さんは、百倍利器をフル稼働させて、活性液をボランティア活動支援のため提供している。



EM活動のネットワーク化が進む新潟県
 平成14年3月に設立された「にいがたグリーンネット21」(渡邉正之会長)は、新潟県下のEM活動のネットワーク化を進め、互いに支え合って成長している。今年は県下5箇所、燕市(6月)、十日町市(7月)、新潟市(8月)、佐渡市(9月)、村上市(10月)、新潟市豊栄地区(未定)で地域交流会を開き、既存の会員の絆を深めるだけでなく、もっと多くの人にEMを知ってもらおうと張り切っている。  

地域活動政策の一環としてのEM普及が進む新潟市
 旧豊栄市のコミュニティーにおけるEM活動は平成14年2月に始まった。活動の主体は当時の豊栄市長小川竹二氏が地域の活性化を図るため、5つの中学校区に設立したコミュニティーセンターである。地域で出来ることは地域でとの考えから、マイクロバスも備え、市民活動の拠点とした。EM生ゴミ堆肥化を行いたいとのコミュニティーの要請に基づき、豊栄EM普及会(永井紘会長)が、講習会で指導を行ったのがきっかけとなった。豊栄市を合併した新潟市は、地域コミュニティーセンターを核とした市民活動政策を引き継ぎ、現在の40箇所を100箇所に増加する予定である。平成17年に本通信で紹介された健康野菜づくりと販売や旧新発田川の浄化は、コミュニティーセンター活動の一環として進められている。豊栄EM普及会は、コミュニティーセンターへのEM講習会を毎年三地域で十数回開き、EM活用が地域に根付くようにと努力を続けている。今後はコミュニティーセンターの増設とともにEM活動も成長させたいと期待を膨らませている。

温泉熱で育つEMの活躍
 村上市では平成6年から活動してきたNPOいわふね地域エコセンター(加藤治郎理事長)が、瀬波温泉連絡協議会の協力を得て、95℃もある源泉の熱を利用して町づくりを目指している。
 湯元のポンプ場に源泉利用の床暖房を備えた小屋が建てられ、冬でも常時2トンの二次培養ができるようになった。できた活性液は、旅館の厨房清掃や清水川の浄化に使われている。2001年からEM投入を始めた清水川が流れ込む三面川では遡上する鮭が多くなり、北部の海岸では1959年以来みられなかったテングサが採れるようになった。また昨年からは石川の浄化も始め、ロータリークラブ、地域の企業や学校の協力を得て、シジミの採れる石川の復活を目指している。
 また、源泉の熱で真水を温めそれをパイプで生ゴミ処理機に循環させ、乾燥用電気料金を節約する実証実験も進行中である。現在は旅館など3箇所から集めたゴミ150kg/日を処理しEMで発酵させ3kgの肥料にしている。将来は大型の処理機を本格稼動させ、地元の農家に野菜や果物を栽培してもらい宿泊客に提供できるようにしたいとしている。

佐渡の朱鷺は飛ぶか?
 佐渡市真野町の大慶寺に置かれた培養器は、朱鷺が自生できるよう佐渡の環境を整えるのに一役かっている。
 国中平野では、「NPOエコひびき佐渡」の生浦一秋氏と山城利顕氏が、ソバや米の栽培、畑にEMを使い、朱鷺が自生できる土づくりに努めている。
 また、真野湾豊田港では、湾内でヒラメ養殖を行ってきたが、稚魚から成魚に育つ歩留まりが、10-15%にも低下したため、2005年6月からEM団子と海水100%のEM活性液の投入を開始した。豊田漁協と協力して昨年は春と秋に合計約5,000個の団子と10トンの活性液を投入した。今年は団子10,000個、活性液20トンの投入を予定している。7月には小学生も参加して湾に団子を投入し、更に多くの住民の協力と理解を得たいとしている。
活性液を積み込み湾内散布に出発!
活性液を積み込み湾内散布に出発!
 佐渡市あがたの道の駅「芸能とトキの里」能楽資料館では、トイレや厨房の清掃にEM活性液を使っている。資料館の排水が流入する「加茂湖」の浄化に少しでも役立てばという加藤博館長の願いが込められている。
 両津港近くにある老人介護施設の傍の側溝の臭気抑制も今夏から始まる。うまくいけば、施設内でもEMを使用してもらおうと「エコひびき佐渡」のメンバーは、今から臭気抑制後の策を練っている。
 土と水の浄化がすすむなか、22羽に増えた朱鷺が佐渡を飛ぶ日も近づいている?



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