秋田県が「市民提案のEMによる県民協働公募事業」を採用
〜実施主体は地域づくり活動団体「かづの21プラン」〜
  秋田県は、米の“あきたこまち”、養鶏の比内地鶏、観光の青森県境白神山地や十和田湖が特に名高い。また、北東部には、日本最古で最大規模という“尾去沢鉱山遺跡”を持つ。この地方では、長年育まれてきた技術や人材を大切にする伝統がある。今回は鹿角市(かづのし)地区を中心に、EM技術を活用した地道な人づくり・地域づくりをリポートする。
「U-ネット善循環の輪集いへの参加」が公募事業提案のきっかけ
−行動する人づくりを目指す−
 かづの21プラン(秋田県鹿角市、浅石昌敏代表、U-ネット会員)では、長年人づくり・地域起しの活動を続けている。同会は、田中喜昭事務局長が平成18年、19年と続いた盛岡、仙台でのU-ネット善循環の輪集いに参加。同集いでのEM活動交流に刺激を受け、平成19年に秋田県あてに「EM活用による 環境へ負担の少ない地域づくり」を提案。予算130万円規模で県民協働公募事業として採用された。
 同事業では、環境への負荷は日常生活や企業活動そのものにあるとの認識から、環境に対する豊かな感受性や見識を持って行動する「人づくり」が重要であるとしている。
 平成19年度には、地域内全学校の児童・生徒向けに、EM団子づくり・河川投入、EM活性液の学校プール投入・清掃、環境学習会などを実施(25回、参加1,344名)。地域住民向けにも、生ごみのEM発酵堆肥化と家庭菜園づくり、EM廃油石鹸作り(14回、参加425名)、環境講演会(1回、参加300人)などを実施している。市民からは喜ばれ、行政、マスコミなどからも画期的な人づくり事業として注目されている。
人づくりを進める田中喜昭U-ネット秋田県世話人(右)浅石昌敏かづの21プラン代表
人づくりを進める
田中喜昭U-ネット秋田県世話人(右)
浅石昌敏かづの21プラン代表

「地域への貢献なくして企業の存続なし」が社是。すこぶる元気なEM育ちの地鶏たち(秋田比内や鶏舎)
地域への貢献なくして企業の存続なし」が社是。
すこぶる元気なEM育ちの地鶏たち(秋田比内や鶏舎)

秋田県県民協働公募事業を推進する(左から)倉持明彦県地域企画課長齋藤真弓同技師
秋田県県民協働公募事業を推進する(左から)
倉持明彦県地域企画課長、齋藤真弓同技師

−文部科学省の助成で人づくりを拡大−
 かづの21プランでは、平成20年度からは、文部科学省(窓口:県)の助成受け、EM発酵廃油石鹸作り活動を拡大している。廃油石鹸作りは、家庭生活や企業活動から発生する廃油(環境負荷源)を石鹸(環境浄化源)に転換させるものである。作った廃油石鹸を各家庭に持ち帰って使用することにより、環境改善の実体験ができることから、一人ひとりの意識改革と活動の輪拡大に役立つ(田中喜昭同事務局長、U-ネット秋田県世話人談)という。



「地域への貢献なくして企業の存続なし」
〜鹿角市では養鶏企業や養豚組合などが積極的にボランティア活動を支援〜
−EM活用による高効率・高品質養鶏−
 秋田比内や(株)(秋田県鹿角市、柳沢義一副社長)では、常時1,000羽の比内地鶏を養鶏しているが、4年前からEM活用をはじめ、高効率で高品質な養鶏経営を実現している。
 飲料水には、雛のときから0.1パーセントのEM活性液を入れ、鶏舎全域に1パーセントのEM培養液を週2回噴霧している。雛の死亡率は通常の半分以下で成育が順調、肉質も非常に良い。また、慣行の養鶏では、入れ替え時に約1ヶ月の鶏舎使用停止期間を必要とし、その都度消毒処理が欠かせなかったが、EMを活用することにより1週間の停止期間とEM散布で対応でき、効率が良くなっている。(同副社長)

−積極的に地域に貢献−
 同社では「地域への貢献なくして企業の存続なし」を社是としており、地域への貢献を目指し、EM活性液をボランティア団体に無償で提供。また、地域ぐるみの無農薬・無化学肥料・有機栽培農家を支援するため活性液の無償提供や鶏糞の格安提供を進めている。
 また、同社ではEM活用による社有地での有機栽培を推進中で、近い将来、地域ぐるみの有機農業を実現し、食と環境の安全を実現したい(同副社長談)としている。
近隣の福士川(米代川支流)浄化にEM活性液を提供。ホタルの復活を目指す
近隣の福士川(米代川支流)浄化に
EM活性液を提供。ホタルの復活を目指す。
左端が柳沢義一副社長。


−養豚場が学校プールにEM活性液−
 八幡平養豚組合(秋田県鹿角市、阿部芳家常務理事)では、近隣住民から出ている臭いの苦情に対応するためEMを活用している。百倍利器2基、1トンタンク6基を持ち、飼料用EMぼかしづくり、養豚場内散布用の二次培養液を作っている。未だ完全な臭気カットには至っておらず、各種の試行錯誤が進められている。
 一方、同養豚場では、ボランティア団体・かづの21プランの要請に応え、近隣小学校のプール清掃などのため、EM活性液を積極的に提供し、市民や学校から感謝されている(田中喜昭事務局長談)という。
養豚場内の活性液培養装置
養豚場内の活性液培養装置


−温泉でもEM活用−
 七滝温泉(秋田県鹿角市、天然温泉)では、かづの21プラン田中事務局長の幼稚園でのEM講習会に参加した経営者が、EMの効用に注目し、昨年から活性液を自家培養し、湯用具をEM活性液に一晩浸して洗浄。使用後の湯水放水時にもEM活性液を混ぜるなどして化学洗剤の使用を止め、環境に配慮した経営を実現している。また、温泉内の売店でも、EM洗剤や化粧品などを常備し、EMの普及に取り組んでいる。
売店でEMの効用をPRする関係者
売店でEMの効用をPRする関係者


−集中豪雨災害復旧にEM活用−
 鹿角市では、平成19年9月の集中豪雨で、市中心部を流れる米代川の堤防が決壊、氾濫。川沿いの農業用地が甚大な被害を受け、住宅や商店街も多数の床上浸水が発生した。
 この復旧作業には、かづの21プランのメンバー20人がEM活性液を持参し、動力散布を実施して悪臭対策や浄化作業に効果を上げ、行政や地域住民から感謝された。



人・地域を活かす群馬のEM活動 〜有機農業から環境改善へと拡がる〜
 昨年10月に栃木県足利市で「善循環の輪 栃木の集い」が開催され、群馬県の両毛地域にもEM活用による環境活動が拡がりをみせている。そこで、今回は人を活かし地域にしっかり根付いているEM有機農業や環境改善にも拡がる伊勢崎市の活動をレポートした。

−清潔で健全な環境でEM健康豚を生産−
 毎年の出荷頭数が1万頭という大規模な豚舎は通常、周囲に民家などが無いところをイメージしがちだが、これを経営する(有)宮田ブリーディング(宮田宏会長・U-ネット会員)は教育施設や住宅がある市街地に立地する。養豚場から排出される糞尿の臭いが懸念されるはずだが、驚いたことにほとんど臭わない。
 宮田ブリーディングは、EM健康豚生産農場を名乗るだけあってEMを多方面に活用している。肉の品質を上げるため飼料にEMぼかしを添加し、豚舎には常に希釈されたEM活性液を流して清潔を保っている。
 糞尿の処理も浄化槽や大型活性汚泥装置等を用い徹底的に浄化して、好評なEM堆肥の生産のみならず、川に流す時点での排水は基準値以下であり、河川浄化にも役立っている。
宮田ブリーディングの農場と豚舎の健康豚
宮田ブリーディングの農場と豚舎の健康豚
 また、EMネット北関東の会長を務める宮田宏氏は伊勢崎有機農業研究会の会長でもあり、自社農場でこの堆肥を用いてタマネギの生産もしている。このタマネギは糖度9という美味しいもので、研究会の仲間6軒で共同出荷している。

−エネルギーに満ちたトマトは美味しく日持ちする−
上田裕吉氏のハウスで栽培されるアイコ
上田裕吉氏のハウスで栽培されるアイコ
 トマト名人と評判で研究熱心な上田裕吉氏を訪ねた。トマトの品種はミニトマトのアイコと大玉の麗容(レイヨウ)で、商標は「にっこりトマト」としている。ここで注目したのは、全部、蜂による交配がされたものだということ。交配されたものは、細胞段階でエネルギーに満ち健康なので、日持ちも良く美味しいのだ。
 その秘密を打ち明けてくれた。ハウスの土壌にシイタケの菌床廃材にコメヌカとフスマを混ぜてEM処理した堆肥が大量にすき込まれていると言う。そして、ハウス内に電動ファンで空気を循環させているので病気がほとんどない。また、省エネ対策として気温に応じ、ハウス内を三層のネットで温度管理している。これで燃料費が20パーセント削減されるそうだ。人に優しい有機栽培トマトと地球に優しい省エネハウスであった。


−福祉施設でトイレと厨房の消臭−
 知的障害者通所更生施設の「天啓園」を訪ねた。ここでは、販売好調な有機野菜の栽培のほかトイレ・厨房の消臭対策に、宮田ブリーディングのEM堆肥と活性液を用いている。この活性液は養豚の廃水がEM化されているので大量に無料で活用できる。
 トイレの消臭について、当施設の宮下支援員が伊勢崎有機農業研究会の浮塚さんに相談したところ、大量に投入したほうが良いとのアドバイスを受け、本年1月に便器や便所の床、特に臭いのきつい排水口に活性液200リットルを投入した。効果てき面で翌朝には臭いが消えていた。効果を持続させるため、毎日、活性液を30リットルほど投入し続けている。トイレで実証できたので、厨房の悪臭退治にも活性液を使用して、効果を上げている。
天啓園
天啓園


−大手スーパーに並ぶEM新鮮野菜はすぐ完売−
 北関東を中心に展開している大手食品スーパーのベイシア上里本庄店に生産者直売場コーナーを取り仕切る松村光雄氏を訪ねた。生産場所別に棚が並ぶが松村氏の野菜は、すぐ分かる「あなたにやさしいEM新鮮野菜」のシールが貼ってあるのだ。EM野菜は甘くて日持ちがよいとの評判だから、コーナーと直売だけで完売になる。
 松村氏は以前、金型設計が本業で休日だけ農業に従事していた。しかし、EMによる有機農法を取り入れてから、農業の面白さ・大切さを認識し、現在は米と野菜を4ヘクタール耕作する専業農家に転身している。EM生ごみ堆肥応用の循環農法で日本一美味しいタマネギを作り続け、地域に貢献する「タマネギ王国」を作るのが夢だ。
ベイシアの生産者直売場コーナー
ベイシアの生産者直売場コーナー




「えびのEM研究会」〜動き始めた宮崎県〜
 えびの市(人口約2万2千人)は、宮崎県の西の端、南に霧島連山、北に九州山脈に囲まれた盆地。EM導入14年。近年稲作栽培、酪農、園芸など再活発化の動きがでている。

−EMに魅せられて−
 えびのEM研究会としては、平成15年に発足したが、EM活動の歴史は長い。そもそもは、東稔さん(初代代表、果樹農家)が「EMのすべて」を読んで農薬の減量に取り組んだ平成6年に始まった。出水地区の区長となった東さんが自治公民館活動報告の中で話したEMを、野間寛俊さん(社会教育委員)が自治公民館活動の一環として取り上げ、EM活動にはずみがついた。9箇所の地区公民館から始まり、平成18年から他の地区にも広がり始めている。地区女性部活動をしていた松窪ミツエさん(2代目代表、市図書館の館長)、隣の小林市の嶋岡豪士さん(U-ネット会員、人工授精師)が活動に加わり、今では会員は70名ちかくになっている。鹿児島の山下浩さん(U-ネット会員)を講師に招き定例勉強会を毎月開いている。

−生活の中で夢に向かっての活動を展開−
 松窪さんは図書館に備えてあるEMに関する本を活用し「台所からの環境問題」をテーマに、市内の女性団体や自治公民館を中心に会員と共に、EMの普及に務めている。
柿ノ木の幹にセラCを塗布した東さん
柿ノ木の幹にセラCを塗布した東さん
 EM石けん作りは、個々人に浸透している。減農薬から無農薬栽培を目指す東さんは、特にこのプリン石けんを活性液散布の添着剤として薦めている。粉石けんの製造機は宮崎県下に2台あるが、その1台が小林市にあり、環境保全を目指す嶋岡さんがEM粉石けん作りの指導をしている。


−EMで生ゴミ堆肥推進−
 嶋岡さんは、自宅が地区のゴミ集積所であることから、小林市の委託を受け、EMでウジや臭気の出ないコンポスト処理の実験を4月から行っている。成功すれば生ゴミは市の全地区のゴミ集積所でコンポスト化されることになる。また、自宅にコンベアー、飼料用ミキサーとシーラーを備え付け、近隣農家の使用に提供している。現在20軒ほどの農家が随時利用しEMボカシ堆肥を作っている。
実験中のコンポストと嶋岡さん
実験中のコンポストと嶋岡さん


−EMを飲む牛はおとなしい−
 160頭ちかくの肉牛を飼育する池田菊憲さんは、牧草を刈り取りベールにするときにEM活性液を散布しサイレージにしている。またボカシをオガクズに混ぜ床に敷いている。既に8年のEM使用経験を持ち、使い方は大胆である。4日に1度、活性液を希釈もせずそのまま牛に飲ませている。牛はおとなしくハエも臭気もなく畜舎は快適である。また、敷き藁やオガクズを堆肥として育てた麦や牧草は牛の飼料となり、見事に循環の輪が完成している。
左は活性液を飲む牛。右は干草ベールと松窪さんと池田さん
左は活性液を飲む牛。
右は干草ベールと松窪さんと池田さん


−さらに広がる輪−
 会員の稲作栽培経営者15名は、「えびの産EM米ひのひかり」を地域のブランド米にしようと「えびのEM研究会生産組合」を結成し熱心な取り組みが始まっている。
 また、2009年4月には「善循環の輪の集い」の開催を予定し、今年5月には実行委員会を立ち上げた。


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